2007年4月 7日 (土)

島根・鳥取神話の旅

 このエントリは大阪のホテルの部屋で書いている。ここまで来る間に,島根・鳥取の神話のポイントをいくつかめぐってきた。
 4月3日のJAL1667便で羽田を出発。A300のクラスJはほぼ満席。予定より10分ほど遅れて出雲空港着。ジェット気流が向かい風だったかららしい。毎年出雲に来ているが,飛行機で来るのは今回が初めて。窓際の席が取れなかったのは残念だが,島根半島・宍道湖などを少し離れた窓から望みつつファイナル・アプローチ。出雲空港の滑走路の片方は宍道湖に突き出す形になっているが,今回は反対側から着陸。
 空港内のレストランで一休み。展望デッキの内側で,飛行機がよく見える。エアバンドを聴きながら離着陸を見る。といっても,便数の少ない地方空港なので,やや面白味に欠けるのはいたしかたない。こうした空港では連絡バスのダイヤも飛行機に接続する形になっており,それを逃すとバスがない。しかたなくタクシーで出雲市内に移動。この日は出雲市泊。
 翌日は出雲大社へ。半ば毎年恒例になっている。一畑電鉄で,川跡乗り換え。出雲大社前駅で荷物をコインロッカーに預けて行く。雨が降ったり止んだり。まだ朝早い(9時前)なので,人は少ない。やはり神社に参拝するのは人が少ないほうが気が散らなくてよい。参拝後出雲そばの店に行き,割子そばを食べる。なぜか出雲のそば屋は昼食時間前から開いているところが多い。
 そばを食べてからバスで日御碕神社へ。ここには前にも一度行ったことがある。たしかこの時は雨が土砂降りだった。今回は天気が目まぐるしく変わる。神話に出てくる稲佐浜のそばを通ってバスは日御碕へ。神社に参拝した後,そのままバスで引き返すか,1本後のバスにして灯台まで行くかちょっと迷ったが,灯台には前回行ったので今回はパスすることに。出雲大社の正門前でバスを降り,古代出雲歴史博物館に行くことにした。建築家による複数の出雲大社の復元模型が興味深い。神話シアターでオオクニヌシの神話のビデオを見る。その後一畑電鉄で松江に移動し,松江泊。
 翌日は松江駅前からバスに乗って美保関ターミナルへ。美保神社に行くためだ。一畑バスの終点は美保関町民バスのターミナルになっている。ここからさらにこの町民バスで神社まで行く。美保はコトシロヌシが国譲りの返事をした場所とされており,美保神社もコトシロヌシを祀っている。エビス信仰には蛭子信仰とコトシロヌシ信仰の2系統があり,ここは後者の総本社的存在だ。ちなみに,福男で有名な西宮神社は前者の系列。
 神社参拝後少し時間があるので昼食。バスの終点近くの店に入る。1000円の定食のみとのことで,それを注文。刺身2品に干物と小鉢。コノシロらしき魚の入った吸い物がつく。その後来た道をたどって松江駅に戻り,特急スーパーまつかぜで鳥取に移動。山陰では特急列車は指定席+自由席の2両が標準で,きわめてシンプル。
 鳥取では外に出て飲んだ。ホテルの近くの大衆割烹。ブリやエビの刺身やカレイの唐揚げをいただく。瑞泉という日本酒を飲む。瑞泉と言えば沖縄の泡盛が有名だが,こちらはすでに書いたように日本酒で,岩美で作られているそうだ。
 4月6日は白兎神社に行った。鳥取駅からバスで約40分。オオクニヌシに教えられて白兎が体を洗ったという池もある。道の駅が整備されていて,国道をまたぐ歩道橋が工事中。目の前の海岸は白兎海岸という名前で,ここで一連のできごとが起こったとされている。オオクニヌシと白兎の石像もある。神社に参拝して海岸でしばし休息した後,鳥取駅に戻り,白兎の名前のついた特急「スーパーはくと」で神戸・三ノ宮へ。停車のアナウンスの前に流れるメロディは「大きな袋を肩にかけ…」の「だいこくさま」だ。

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2006年11月22日 (水)

神社と神話

神社に参拝する際に,背景となる神話を知っているとその経験はより意義深いものとなる。この神話とは,主に『古事記』『日本書紀』である。

たとえば,出雲大社の祭神は大国主大神である。なぜこの神が出雲に祀られているのか。『古事記』によれば,天つ神に国を譲り,その後出雲に隠居したからとなっている。またこの際,大国主大神は子である事代主神に返答させたとされているが,この事代主神は美保で釣りをしていたとなっており,美保には事代主神を祀る美保神社がある。実際に行ってみると,美保は漁業の町でけっして規模は大きくなく,この町になぜこんな立派な神社があるのか,と思うほどだが,神話の世界とつながることである程度は理解できるようになる。

諏訪大社もこの国譲り神話に関係がある。諏訪大社の上社の祭神である建御名方神も大国主大神の子で,国譲りの際に建御雷之男神と力比べをして負け,諏訪まで逃げたとされているのだ。諏訪大社下社には兄弟の事代主神も祀られている。なお,建御雷之男神は鹿島神宮の祭神だ。

神社の御利益も神話と関係する。事代主神がえびすとして漁業の神とされるのは,国譲りの際に美保で釣りをしていたことと多いに関係がある。また,稲荷神社に祀られている宇迦之御魂神は本来稲の神で,豊作を願う対象であったことから現在では商売繁盛の神となっているのだ。

こうした知識はもちろん『古事記』の原典を読むことでもえられるが,なかなか難解である。『日本神さま事典』といった簡便な事典類がいくつか出版されているので,それから入っていくのがよいだろう。

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2006年10月23日 (月)

貧乏神神社亀戸分社

貧乏神神社という不思議な神社がある。今回参拝したのは東京・亀戸にある「貧乏神神社亀戸分社」だ。本社は長野県飯田市にあるということだ。

貧乏神を祀るという一見不思議な風習について知ったのはずいぶん前のことで,内田百閒の文章で,東京・小石川に貧乏神の祠があって,出てこないように祀ってある,というのを読んだ。百閒は貧乏神に縁があったのだが,一方では『まあだだよ』にも見られるように,人間関係にはかなり恵まれたようである。彼がはたしてこの貧乏神の祠をお参りしたかどうかは知らない。

このことはしばらく忘れかけていたのだが,今回宮田登『カミとホトケのあいだ』(宮田登 日本を語る6,吉川弘文館)を読んでいて,小石川牛天神に貧乏神の祠がある,という記述を見て思い出した。祀ることで貧乏神が福神に転じる,というのが基本的な考えかたのようだ。

さて,今回お参りした亀戸の貧乏神神社だが,何と「サンストリート」というショッピングセンターの2階にある。営業時間(?)には案内人の方がいらっしゃって,ユニークな「参拝」方法を教えてくれる。基本的には自分に憑いている貧乏神をここに「お預けする」,という発想で,まずはご神木を棒で3回たたき,出てきた貧乏神が下の切り株に逃げるので今度は足で3回蹴り,最後にお手玉状のものを投げて退散させる,というものだ。そして「退散箱」の前で「お預かりください」とお願いして,その後「災禍転福」の鉄琴様のものを鳴らして参拝完了となる。

案内人の方からいただいた「災禍転福 極意書」には以下の信条(?)がある。

  • 生かされていることを感謝し,思いやりの心を持つ。
  • 何事もくよくよせず,プラス思考で対処する。
  • 体に良い食べ物,適度な運動など,健康維持に努める。
  • 人の倍は無理でも,二割り増しくらい努力する。
  • 願い事を毎日念ずれば,「必ず成就する」と信じる。
  • 今日一日を省みて,明日の活力に活かす。

1つ1つは単純なことだが,たしかにこのように生きれば幸せな生活ができるだろう。自分は貧乏だが,貧乏以外に災いがないのは貧乏神様のおかげとお祀りしたという,貧乏旗本の話にも通じる部分がある。

縁起物をいただく間案内人の方と楽しくお話しさせていただいた。本当に福の神のような方で,最後には「楽しい会話をありがとうございました」と感謝の言葉までいただいてしまった。何だか本当に貧乏神と縁が切れたような気がする。ぜひしかるべき成果を持ってお礼参りに行きたい。

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2006年6月14日 (水)

伊勢参宮

伊勢神宮は全国の神社の「総本山」(妙な言い方だが)である。正式には「神宮」と言う。三重県伊勢市に鎮座する。大きく皇大神宮(内宮)と豊受大神宮(外宮)に分かれており,前者の祭神が天照大御神,後者の祭神が豊受大御神だ。豊受大御神は天照大御神の食事を司る神である。

参拝は外宮→内宮の順が基本。外宮の最寄り駅はJR・近鉄伊勢市駅だ。JR側に出て,正面の道をまっすぐ行くと突きあたりが外宮である。徒歩で行ける。荷物をコインロッカーに預けるつもりなら,帰りのことも考えて近鉄宇治山田駅からスタートするとよい。ここから外宮へも徒歩で行けなくはないが,バスに乗ってもよいだろう。宇治山田駅→伊勢市駅→外宮→内宮というルートの三重交通バス(経由は2通り)がけっこう頻繁にある。

外宮神域には正宮の他,多賀宮,土宮,風宮の3つの別宮がある。多賀宮は石段を上がったところにあって,タイミングがよければ人もいなくて神との「交感」が体験できるような感覚が味わえる。全体に外宮は内宮に比べて人が少ない。外宮神域から徒歩10分ほど離れたところには,やはり外宮別宮の月夜見宮もあり,時間があればこちらにも参拝したい。

外宮から内宮へは上述のバスで移動するのがよいだろう。内宮の入口となるのが五十鈴川を渡る宇治橋だ。観光写真などにもよく登場する。宇治橋を渡って玉砂利を踏みながら右に進んでいくと御手洗場がある。この先さらに右側には五十鈴川のほとりに出られる場所があり,ここも身を清める場である。ここから左にしばらく歩いていくと正宮。このルートはけっこう人がいる。一度早朝の人のいない時間に行ってみたいものだ。正宮の次は別宮の1つ荒祭宮に参拝するのが一般的だ。途中,古殿地(20年ごとの式年遷宮のための空いている用地。ちなみに,次の遷宮は平成25年)の脇を通るが,正面からは見えにくい正宮の様子が見える。荒祭宮の次は風日祈宮にお参りしたい。五十鈴川を橋で渡った先にある。内宮の中では比較的静かで,やはり神との交感ができそうな気持ちになれる。

内宮にはこの他にも別宮がある。伊勢市内には月讀宮(他3宮が同じ神域内にある),倭姫宮がある。この順で内宮からバスでお参りできる。伊勢市以外のところにも内宮の別宮があり,その1つが志摩市磯部町にある伊雑宮だ。近鉄志摩線上之郷駅下車。普通列車だけが止まる駅だ。ここには御神田があり,6月24日には御田植祭が行われる。

もう1つは同じ三重県ながらかなり離れたところにある,瀧原宮だ。松阪駅から南紀特急バスでおよそ1時間。すぐ前にバス停がある。ここの御手洗場は本当に川である。

ぼく自身の伊勢参宮歴は5年くらい。ある秋の日,突然思い立って行ったのが最初で,それ以降年に2,3回のペースでお参りしている。東京から新幹線で名古屋まで行き,そこから近鉄特急で行くのが普通だが,大阪方面から行ったり,池袋からバスで行ったこともある。季節もいろいろで,台風にあったり,3月に季節外れの雪を経験したりもした。今も実は強烈に行きたいのだが,仕事の関係で7月下旬まではどうやら無理そうだ。

1年少し前に別宮を含めて全部巡った。それまでは名古屋に泊まってそこから日帰りで行っていたが,その時以降伊勢市内のホテルに泊まっている。伊勢市駅・宇治山田駅の周辺にはビジネスホテルがいくつかある。

今度こそ,早起きして早朝の内宮に参拝したい。

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2006年4月 2日 (日)

大神神社神体山登拝

大神(おおみわ)神社は奈良・桜井に鎮座する。大和国一之宮で,三輪明神とも呼ばれる。去年の4月に初めて参拝し,その後この3月にも訪れた。

この神社の大きな特徴は2つ。1つは三輪山を神体山とし,本殿を持たないこと。もう1つは独特の三輪鳥居である。今回3月に参拝しようと思ったのは,この三輪山への「登拝」を果たすためだ。去年訪れたときはちょうどお祭りで,登拝できなかった。

前回は大阪・難波から近鉄特急で大和八木へ,そこから近鉄大阪線で桜井,さらにJR桜井線で三輪まで行った。今回は午前中に登拝しようと考え,八木に泊まった。あまりホテルは多くないようだ。

三輪山に登拝するには,境内にある狭井神社で簡単な手続きをする。この山は禁足地で,撮影等はいっさいできない。この点を含めいくつかの注意事項を確認し,ルートについて簡単に説明を受けたあと,入山証となるたすきを受け取り,自分でお祓いをしてから入山する。

前日の雨のため,道はかなりぬかるんでいて,よく滑る。幸い尻餅はつかなかったが,ズボンの裾や靴は泥だらけになった。ぼくが神社に行こうとするとよくこうなる。日頃の行いがよくないのかもしれない。

途中からかなりきつい上り坂になる。神社巡りは足で勝負することがけっこうあるが,ぼくは基本的に体を動かすことが嫌いだ。日頃の運動不足がたたり,頂上に着かないうちに足がガクガクになる。

途中の目印は滝と大きな磐境だ。当然,こういうポイントで少し休憩を取る。頂上にはお社と磐境がある。これらを参拝して下山するのだが,もう足が本当に痛い。おまけに滑る。何とか下山し,狭井神社の薬井戸でご神水をいただく。その後山の辺の道を少したどってみようかと思っていたが,足がガクガクしてとてもそんな状態ではない。

今度は晴れの日に行ってみたい。

参考となる本を2冊紹介しておこう。

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2006年3月31日 (金)

諏訪大社

諏訪大社にようやく行くことができた。前からずっと気になっていた神社だ。

諏訪大社の構成は複雑だ。まず,諏訪湖の南東側にある「上社」と北側にある「下社」に大きく分かれ,上社は「前宮」と「本宮」に,下社は「春宮」と「秋宮」に,それぞれさらに分かれる。これまで気になりつつなかなか参拝を果たせなかった原因は,この配置のために回るのがちょっと大変に思われたことだ。

今日は松本7時59分発の「あずさ」で茅野へ。ここから大熊行きのバスに乗れば前宮に行けることは把握していたのだが具体的な時刻は調査が行き届かないせいかわからず,場合によっては歩いてもよいと考えていたのだが,駅前に「大熊」と表示のあるバスが停車しており「ラッキー」と思って乗車。前宮前で下車して前宮を参拝。その後徒歩にて本宮に移動した。

問題は本宮から下諏訪にある下社への移動である。上諏訪駅まではコミュニティバス路線があるが,本数が少ないうえにいろんなところを回るので時間がかかる。タクシー移動かなと思いつつ来たが,やっぱりそうすることに。タクシーの看板に書いてある番号に電話して回してもらう。ここから下社秋宮までは約20分とのこと。料金は4150円だった。

秋宮から春宮へは徒歩。春宮参拝後徒歩で下諏訪駅に行き,ちょうどいい具合に11時35分発の「あずさ」があったので乗車。松本に戻ってきた。

いちばんにぎわっているのはおそらく下社秋宮だろう。ついで上社本宮か。いちばん人が少ないのは上社前宮。タクシーの運転手さんから2箇所だけ回る観光タクシーのコースがある,という話を聞いたが,それはおそらくにぎわっている2つではなかろうか。

諏訪大社で有名なのは「御柱祭」だろう。7年目ごとに行われ,各宮の中心建築物の四隅に立つ「御柱」を運ぶ祭りである。最近では2年前に行われた。

ついでながら,複雑な構成の神社は他にもある。代表的なのは宗像大社だろう。九州本土にある辺津宮,本土からフェリーで25分の筑前大島にある中津宮,海上60kmの禁足地沖ノ島にある沖津宮の3つからなり,沖津宮には年に1度しか行くことができない。昨年春に辺津宮と中津宮には参拝した。いわゆる熊野大社も熊野本宮大社,熊野速玉大社,熊野那智大社の3つからなる。

気になっていた諏訪大社参拝を果たしたいま,次はどこに狙いを定めようか。

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