2008年3月10日 (月)

新幹線とアイスクリーム

 子どものころ,新幹線に乗ると車内販売のアイスクリームを必ず買ってもらっていた。当時は日本食堂が車内販売用のアイスクリームを自社製造していたのか(ひょっとすると今で言うOEM的なものであった可能性もあるが),今はなき0系新幹線(とわざわざ断るまでもなく,ぼくが子どものころは新幹線は0系しかなかった)がコック帽をかぶったマークがついていて,新幹線でアイスクリームを食べるという経験が特別なものに思えた。家でも乳脂肪分の高い「レディー・ボーデン」などを食べることもあったが(何かでギフトカードをもらったりしたのだったと思う),新幹線で食べるアイスクリームはやはりひと味違うななどと感じていた。
 だから,というわけでもないが,今でも新幹線に乗ると車内販売でアイスクリームを買うことが多い。売っているのは日本食堂ではなくパッセンジャーサービスで,商品も「スジャータ」のめいらくが作ったものである。しかも,子どものころは母と妹とぼくの3人で2つを食べたが,今では新幹線に乗るときはたいてい1人だ。モノとしては当時と比べて劣るところはないのだろうが,1人で食べるよりはやはり3人で食べたほうがおいしかったような気がする。

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2007年4月 7日 (土)

島根・鳥取神話の旅

 このエントリは大阪のホテルの部屋で書いている。ここまで来る間に,島根・鳥取の神話のポイントをいくつかめぐってきた。
 4月3日のJAL1667便で羽田を出発。A300のクラスJはほぼ満席。予定より10分ほど遅れて出雲空港着。ジェット気流が向かい風だったかららしい。毎年出雲に来ているが,飛行機で来るのは今回が初めて。窓際の席が取れなかったのは残念だが,島根半島・宍道湖などを少し離れた窓から望みつつファイナル・アプローチ。出雲空港の滑走路の片方は宍道湖に突き出す形になっているが,今回は反対側から着陸。
 空港内のレストランで一休み。展望デッキの内側で,飛行機がよく見える。エアバンドを聴きながら離着陸を見る。といっても,便数の少ない地方空港なので,やや面白味に欠けるのはいたしかたない。こうした空港では連絡バスのダイヤも飛行機に接続する形になっており,それを逃すとバスがない。しかたなくタクシーで出雲市内に移動。この日は出雲市泊。
 翌日は出雲大社へ。半ば毎年恒例になっている。一畑電鉄で,川跡乗り換え。出雲大社前駅で荷物をコインロッカーに預けて行く。雨が降ったり止んだり。まだ朝早い(9時前)なので,人は少ない。やはり神社に参拝するのは人が少ないほうが気が散らなくてよい。参拝後出雲そばの店に行き,割子そばを食べる。なぜか出雲のそば屋は昼食時間前から開いているところが多い。
 そばを食べてからバスで日御碕神社へ。ここには前にも一度行ったことがある。たしかこの時は雨が土砂降りだった。今回は天気が目まぐるしく変わる。神話に出てくる稲佐浜のそばを通ってバスは日御碕へ。神社に参拝した後,そのままバスで引き返すか,1本後のバスにして灯台まで行くかちょっと迷ったが,灯台には前回行ったので今回はパスすることに。出雲大社の正門前でバスを降り,古代出雲歴史博物館に行くことにした。建築家による複数の出雲大社の復元模型が興味深い。神話シアターでオオクニヌシの神話のビデオを見る。その後一畑電鉄で松江に移動し,松江泊。
 翌日は松江駅前からバスに乗って美保関ターミナルへ。美保神社に行くためだ。一畑バスの終点は美保関町民バスのターミナルになっている。ここからさらにこの町民バスで神社まで行く。美保はコトシロヌシが国譲りの返事をした場所とされており,美保神社もコトシロヌシを祀っている。エビス信仰には蛭子信仰とコトシロヌシ信仰の2系統があり,ここは後者の総本社的存在だ。ちなみに,福男で有名な西宮神社は前者の系列。
 神社参拝後少し時間があるので昼食。バスの終点近くの店に入る。1000円の定食のみとのことで,それを注文。刺身2品に干物と小鉢。コノシロらしき魚の入った吸い物がつく。その後来た道をたどって松江駅に戻り,特急スーパーまつかぜで鳥取に移動。山陰では特急列車は指定席+自由席の2両が標準で,きわめてシンプル。
 鳥取では外に出て飲んだ。ホテルの近くの大衆割烹。ブリやエビの刺身やカレイの唐揚げをいただく。瑞泉という日本酒を飲む。瑞泉と言えば沖縄の泡盛が有名だが,こちらはすでに書いたように日本酒で,岩美で作られているそうだ。
 4月6日は白兎神社に行った。鳥取駅からバスで約40分。オオクニヌシに教えられて白兎が体を洗ったという池もある。道の駅が整備されていて,国道をまたぐ歩道橋が工事中。目の前の海岸は白兎海岸という名前で,ここで一連のできごとが起こったとされている。オオクニヌシと白兎の石像もある。神社に参拝して海岸でしばし休息した後,鳥取駅に戻り,白兎の名前のついた特急「スーパーはくと」で神戸・三ノ宮へ。停車のアナウンスの前に流れるメロディは「大きな袋を肩にかけ…」の「だいこくさま」だ。

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2007年3月21日 (水)

羽田に春が来た

 羽田ウォッチャーにとって,春の訪れは滑走路の使い方でわかる。専門用語を使わずに言うなら,冬場は北向きに離着陸をするが,春から秋にかけては南向きに離着陸をする。今日はどうやら午後3時頃から南向きに離着陸をするようになっているようだ。空港の情報を伝える無線(ATISと言う)でも,風向が180度であると伝えていた。
 飛行機の離着陸は基本的に向かい風で行う。これは特に離陸の際,向かい風のほうがやりやすいからだ。飛行機が飛ぶためには機体を浮かせる「揚力」が必要だが,これは向かい風のほうが得やすい。
 羽田空港に飛行機を見に行く人にとっても,離着陸の向きは重要だ。北向きに離着陸をしているときには,第1ターミナル(JAL等)側のA滑走路を着陸,第2ターミナル(ANA等)側のC滑走路を離陸にそれぞれ用いるのが基本だ。南向きの時にはこれが逆になる。A滑走路からの離陸を第1ターミナルから見るほうが迫力があるように思う。
 羽田周辺のウォッチング・ポイントでも,離着陸の向きは重要だ。有名なポイントの1つである城南島海浜公園の場合,南向きの方が圧倒的に見応えがある。アーバンホテル大田市場の部屋(一部)やレストランから見える飛行機も,南向きの時に迫力がある。
 明日はどうなるだろうか。南向きなら城南島に行ってみようか。

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2007年3月 8日 (木)

伊勢→神戸—ビーフな旅

 今このエントリは神戸・三ノ宮で書いている。個人事業主の年中行事である確定申告が終わり,とりあえずどこかへ,と思い立って出てきた。日曜日の午後,新幹線で東京を出発し,名古屋で1泊。月曜日は強く降る雨の中を熱田神宮に参拝。その後伊勢に移動して1泊。火曜日は伊勢神宮に参拝して午後大阪へ。大阪でも1泊して神戸に移動。昨日から2泊の予定。この後大阪にもう1泊して土曜日午前中の新幹線で戻る予定。
 今回の旅の目的はいくつかある。最大の目的は伊勢参宮だ。今年に入ってずっと参拝したいと思っていたのだが,ろいろあってこれまでかなわなかった。今回はぼくの参拝パターンの中では比較的簡単なもので,外宮・内宮のみの参拝。市内の別宮にもお参りしなかった。特に理由があるわけではないが,今回は最初の頃のパターンにしたがってシンプルに,と考えた。
 ぼくの伊勢での定宿は伊勢シティホテルだ。本館とアネックスのどちらにも泊まったことがあるが,今回は本館。ところがレストランが休みということで,アネックスの「みやび」に行った。ステーキ御膳を食べた。100gは少々物足りないようにも感じるが,最初だし,ホテルのレストランだから(といってもそこそこよいといつも思っている)まあほどほどにしておこう,ということで。翌日は外宮参拝後バスで内宮に移動し,おかげ横丁の「豚捨」にてコロッケとミンチカツを買ってその場で朝食代わりに食べ,お昼は寶来亭の松坂牛ステーキ丼。前日夜からの牛肉づくし。
 大阪ではいつも行くお好み焼き屋でスジねぎ焼きとご飯に始まり,行きつけのバー「Bar THE TIME天神」へ。しばらくメニューになかったハギスが復活していたので注文。モルトウィスキーなどをおいしくいただいた。
 神戸では昨日の昼食が「サヴォイ」のビーフカレー。神戸でカレーと言えばこの店を挙げる人が多いそうだ。かく言うぼくも『神戸ウォーカー』を見て知った。この店のメニューはビーフカレー1種のみ。店もカウンターのみでかなり小さい。ご飯の盛りは大盛・普通・少なめから選べるが,値段は同じ。おやつには久しぶりに明石焼を食べた。
 夕食は「神戸キチン」でビーフシチュー。味付けはやや薄めで上品。神戸と言えば神戸牛,と思う人は多いだろうが,神戸牛といえばステーキか焼肉,となるのではなかろうか。たしかにステーキや焼肉のおいしい店もあるが,ぼくとしてはビーフシチューをぜひお勧めしたい。この「神戸キチン」がぼくの神戸ビーフシチューデビューの店だ。同じビーフシチューでも店によって表情はさまざまで,たとえば付け合わせのジャガイモについて言うと,「神戸キチン」はロースト,「グリルミヤコ」はマッシュ,「赤ちゃん」は小降りのものを丸ごと出す。味付けも「神戸キチン」の淡泊にしてコクのある(矛盾しているように聞こえるかもしれないが,これが正直な印象だ)味に対して,「グリルミヤコ」は濃厚,「赤ちゃん」は甘みと酸味がやや強めに感じられる。どれも個性的かつ魅力的だ。
 話が前後するが,名古屋に着いた日の夕食には煮込みうどんを食した。いつも「山本屋本店」にするか「山本屋総本家」にするか迷うのだが,後者は最近東京でも食べる機会があったので,「山本屋本店」のほうにした。翌日の昼食はひつまぶし。「蓬莱陣屋」が定番だが,今回は神宮前駅脇の「あつた辨天」にした。

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2007年1月28日 (日)

カレーの街・神田

 神田はカレーの街だ。もっとも,神田といってもかなり広いし,そこにある著名なカレー屋をぼくが網羅しているわけではない。
 ぼくが神田界隈のカレー屋でいちばんよく行くのは「トプカ」だ。いろいろな用事で秋葉原に行ったときによく寄る。この店のカレーは辛口のインドカレーとあまり辛くない欧風カレーがあるが,ぼくは前者を食べることが多い。特に好きなのはマトンカレー。ドロッとしたドライ風カレーにマトンがけっこうたくさん入っている。たしかにけっこう辛い。他のインドカレーはけっこうサラッとしている。欧風では牛すじカレーをたまに食べる。
 靖国通りを神保町方面にずっと歩いていくと「共栄堂」がある。ここのカレーは「スマトラカレー」と呼ばれる,黒っぽい独特のもの。一番人気はポークカレーとのこと。たしかにおいしい。ぼくの個人的イチオシはタンカレー。なお,ここのカレーはぼくにはちょっとソースが少なめで,ソース大盛りで食べることが多い。ご飯の大盛りはかなり多いので要注意。
 明治大学の下には「エチオピア」がある。「サラッ」と「ドロッ」が共存しているというのがぼくのここのカレーに対する感触だ。スパイスがよく効いている。ここも学生の街にあるせいか,ライスを大盛りにするとかなりの量。
 神保長交差点近くのビルの2階にあるのが「ボンディ」。ここは「欧風カレー」を謳っており,かなり濃厚な味わい。ソースのベースはフランス料理のブラウンソースとのこと。
 それぞれに個性的なカレーである。インドからヨーロッパを経由して日本に渡ってきて開花したカレー文化が,ここまで多様になっているのかと実感せざるをえない。

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2007年1月25日 (木)

シーザーサラダ

 先日,友人とシーザーサラダを食べていてふと,なぜ「シーザーなのか」という疑問がわいたので,調べてみた。『リーダーズ英和辞典』によると,「メキシコのTijuana市にあるレストラン Caesar'sより」名付けられた,ということだそうだ。『ランダムハウス英和大辞典』を見ても同様の記述がある。
 若干違うことが書いてあるのが,Oxford Guide to British and American Cultureで,以下のように説明してある。

an American cold dish made mainly with lettuce, cheese and eggs. It was created about 1903 by an Italian-American cook in Chicago, who named it after Julius Caesar.

この説明では,料理人がジュリアス・シーザーにちなんで名付けたとされている。料理店の名前に由来するというのとは少し違う説明だ。まあいずれにしても,ジュリアス・シーザーと関係する名称であることだけは間違いなさそうだ。
 シーザーサラダには何が入るのか。『リーダーズ』には「レタス・ガーリック・アンチョビー・クルトンに, オリーブ油・半熟卵・レモン・粉チーズを加えたもの」とある。一方『ランダムハウス』を見ると「サラダ菜と卵,ニンニク,オリーブ油,粉チーズを混ぜ合わせ,クルトンとアンチョビーを載せたサラダ」となっている。「サラダ菜≒レタス」だとすれば同じ材料である。ぼくがその時友人と食べていたものにはアンチョビは入っていなかったようだし,卵も入っていなかった。これまでにシーザーサラダを食べた経験について考えてみても,アンチョビが入っていた記憶はない。ひょっとすると,まがいものばかりを食べてきたのだろうか。もっとも,Oxford Guide to British and American Cultureの記述では,レタス,チーズ,卵が「主な」材料ということになる。
 ついでの話を1つ。「帝王切開」のことをcaesarian sectionと言う。南山堂の『医学大辞典』によると,「名前の由来はローマ皇帝のシーザーがこの手術で生まれたためという説がある」のだそうだ。一方で,『ステッドマン医学大辞典』には,lex cesareaに記載されていた帝王切開を意味する。Julius Caesar(100B.C.)の分娩に関連したものではない)」と書いてある。

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2007年1月 8日 (月)

淡路屋の駅弁2品

今日実家から帰ってきた。新神戸駅から新幹線に乗ったので,淡路屋の駅弁を2品購入。新神戸駅改札外の弁当スタンドはけっこうにぎわっていた。ここで弁当を買うときはいつも迷う。今回は牛肉シリーズで攻めようと,「肉めし」(1,000円)と「神戸のステーキ弁当」(1,200円)にした。最初目当てにしていた「神戸長田名物ぼっかけ牛飯どんとこい」がなかったのは少し残念。

「肉めし」は薄切り牛肉3枚がのっており,ご飯はカレー風味。錦糸卵ものっている。クルミの煮たのなど副菜3品。冷めてもおいしい弁当を目指したとあるが,たしかに冷めてもおいしい。最近は発熱材で加熱するタイプもあるが,やはり駅弁の基本は「冷めておいしい」だろう。

「神戸のステーキ弁当」はピラフにステーキとフライドポテトなどがのっている。ステーキの量はけっして多いとは言えないが,こちらもなかなか美味。

牛肉は高いが駅弁となると価格をある程度に抑えなければならないから,どうしても肉の量が少ない。その分,ご飯に味をつけることになるのかもしれない。

今度は「神戸海岸通ビーフシチューランチ」を食べてみたい。

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2006年12月25日 (月)

魅惑のフレンチトースト

フレンチトーストを食べていると幸せな気分になる。甘くてこってり,というのが幸福感の原因だとぼくは考えている。もちろん好みはあると思うが。ついさっきも,デニーズでスイートフレンチトーストを食べた。これはデニッシュをフレンチトーストにしたものだ。ふつうの食パンで作ったものも好きだ。

もちろん自分で作ってみたこともある。まずは牛乳と卵を混ぜたものにパンを漬け込むわけだが,時間が短かったのか中心まできちんと漬かっていなかった。そして,フレンチトーストは注意しないとすぐに焦げてしまう。自分で作るのはけっこうたいへんで,やっぱりお店でいただくものだとつくづく思う。

シンプルなメニューだが,どこにでもあるというわけではない。喫茶店などでは,やっていないお店が大半ではないだろうか。それなりに手間がかかるからかもしれない。

学生時代にたまに朝食を食べに行っていた喫茶店のメニューにはあった。ふつう,フレンチトーストにはパウダーシュガーがかかっていてさらに上からシロップをかけるが,この店のにはオレンジマーマレードも載っていた。「甘さの三重奏」といったところか。おいしいのは事実だが,相当なカロリーだろう。

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2006年11月29日 (水)

おかず横丁と佐竹商店街

「おかず横丁」という商店街が,東京都墨田区鳥越にある。東海林さだおのエッセイ「『おかず横丁』で買いだおれ」(『東海林さだおのフルコース』朝日文庫所収)でもとりあげられている。惣菜店が中心となっているためにこのような名称がついたそうだ。事務所から近いので行ってみた。

残念ながら,東海林さだおが描いているような活気は,今はない。やめてしまった店が相当あるようだ。こうした商店街が寂れていくのは何だか寂しい。

事務所の近くには佐竹商店街もある。元々は秋田・佐竹家の江戸屋敷があったことからこの名前がついたらしい。日本で2番目に古い商店街だそうだ。こちらも空き店舗がちらほらあるが,おかず横丁に比べると活気がある。今日は喫茶店でコーヒーを飲み,肉屋で惣菜(クリームコロッケとイカフライ)を買ってきた。コンビニ価格に慣れた目から見ると,物価が一昔前の感覚だ。飲み屋もあるし,韓国料理店もある。今度飲みに行ってみたい。

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2006年11月22日 (水)

神社と神話

神社に参拝する際に,背景となる神話を知っているとその経験はより意義深いものとなる。この神話とは,主に『古事記』『日本書紀』である。

たとえば,出雲大社の祭神は大国主大神である。なぜこの神が出雲に祀られているのか。『古事記』によれば,天つ神に国を譲り,その後出雲に隠居したからとなっている。またこの際,大国主大神は子である事代主神に返答させたとされているが,この事代主神は美保で釣りをしていたとなっており,美保には事代主神を祀る美保神社がある。実際に行ってみると,美保は漁業の町でけっして規模は大きくなく,この町になぜこんな立派な神社があるのか,と思うほどだが,神話の世界とつながることである程度は理解できるようになる。

諏訪大社もこの国譲り神話に関係がある。諏訪大社の上社の祭神である建御名方神も大国主大神の子で,国譲りの際に建御雷之男神と力比べをして負け,諏訪まで逃げたとされているのだ。諏訪大社下社には兄弟の事代主神も祀られている。なお,建御雷之男神は鹿島神宮の祭神だ。

神社の御利益も神話と関係する。事代主神がえびすとして漁業の神とされるのは,国譲りの際に美保で釣りをしていたことと多いに関係がある。また,稲荷神社に祀られている宇迦之御魂神は本来稲の神で,豊作を願う対象であったことから現在では商売繁盛の神となっているのだ。

こうした知識はもちろん『古事記』の原典を読むことでもえられるが,なかなか難解である。『日本神さま事典』といった簡便な事典類がいくつか出版されているので,それから入っていくのがよいだろう。

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